【森トラスト株式会社様】Octa Roboticsのロボット・建物設備間連携に特化したインターフェース「LCI」を導入・検証

  • 森トラスト株式会社様
  • デベロッパー
  • 400名~

朝比奈 康裕様
社長室戦略本部 デジタルデザイン室(部長代理)

佐野 盛僚様
社長室戦略本部 デジタルデザイン室(主任)

“メーカーフリーで導入できるため、より良い機器を自由に選べるところが魅力ですね”

株式会社Octa Roboticsが開発した、ロボット・建物設備間連携に特化したマルチベンダー型のインターフェースサービス「LCI」。森トラスト株式会社様は、経済産業省の補助事業「令和4年度革新的ロボット研究 開発基盤構築事業」に採択され、サービスロボットがスムーズに運行しやすい「ロボットフレンドリーな環境」の構築を目指し、LCIサービスの導入・検証を行いました。

森トラスト株式会社様は、不動産事業、ホテル&リゾート事業、投資事業の3つを柱としながら、2030年より先の社会を見据えた先進的な取り組みにもチャレンジする総合不動産ディベロッパー。本インタビューでは、LCIサービス導入・検証の目的や今後の展望などについて、社長室戦略本部 デジタルデザイン室の朝比奈様・佐野様にお話を伺いました。


LCIサービスの導入・検証を通じ、ロボットの社会実装標準化を目指す

Q.まずは「東京マリオットホテル」「コートヤード・バイ・マリオット東京ステーション」にてサービスロボットとLCIサービスの導入・検証を行った経緯について教えてください。

朝比奈様
2018年から社内で、既存の事業に新しい技術やコンセプトを組み込むための有志によるプロジェクトが発足しました。

複数の企画が挙がりましたが、その中の1つにあったのが、サービスロボットの運用です。この企画を推進していたところ、2019年に経済産業省が新設した「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」より「不動産企業の声が聞きたい」とのお声がかかり参画することとなりました。この活動の目的は、ロボットを導入しやすい環境を実現することです。今回はその中の実証実験としてOcta RoboticsさんのLCIサービスの導入・検証を行いました。ここから、Octa Roboticsさんとも協働しながら、ロボットがスムーズに運行しやすい物理環境の特性の標準化を推進しています。

Q.プロジェクト設立当初は、まだLCIサービスが正式にローンチしておらず、2022年度に初めてご提案できました。1つの目的に対して協働できることは、業界全体から見ても重要だと感じています。今回の導入・実証では、かなりの数のロボットを試していきましたね。

佐野様
そうですね、合計すると6種類のサービスロボットを試しました。エレベーターや自動ドアの溝、扉の枠組みなど、少しの段差でもロボットは通れません。身近な材料で日曜大工のように疑似的な段差を作って地道に検証していきましたね。

1cmの段差なら通れるのに、1.5cmならダメなど、ロボットが運用しやすい環境に必要な具体的な数字も見えてきました。実証実験を繰り返しましたから、私たちはある程度ロボットの運用に対する知識がついてきましたが、初めてサービスロボットの導入する企業様でも分かりやすいルール作りはやはり重要ですね。

Q.ロボットを運用する上でのルールをカタログ化していくなど、御社は先進的に標準化に取り組まれていますので、私たちも何かあれば相談でき、非常に感謝しています。今回LCIサービスを導入されたことで感じたメリットなどはありましたでしょうか?

朝比奈様
LCIサービスは、メーカーフリーで導入できるため、より良い機器を自由に選べるところが魅力ですね。我々はロボットの運用に限らず、新しい技術やコンセプトを積極的に取り入れ、できるだけ良いものを選びたいと考えています。しかし、サービスロボットとエレベーターを連携させるならば、サービスロボットに合ったエレベーターを選ぶなど、選択肢はある程度限定されがちです。LCIサービスならこの選択肢が狭められないため、機器を選ぶ自由度が上がると感じました。選択肢が多いほど競争原理も働き、価格も適正化されやすくなると思います。


LCIサービスの導入・検証で感じた必要性と課題

Q.実際にLCIサービスを導入してみて、サービスロボットとエレベーター連携の必要性についてはどのように感じましたか?

朝比奈様
労働人口の減少や人手不足の深刻化により、サービスロボットの必要性は増していると思います。

しかし、ワンフロアでしか稼働できないロボットだとROI(投資対効果)は決して良いとは言えません。また、広範囲で稼働できないならばワンフロアでできる仕事の数を増やすことも考えられますが、機能が複雑化してロボット自体の価格が上がってしまうでしょう。そう考えると、LCIサービスは1つのシステムを入れるだけで複数のロボットの稼働範囲を広げるため、ROIが高まると感じました。ロボット側をカスタマイズして人に合わせることも可能ではありますが、少しだけロボットに優しい環境にしてあげることで、人にとってもプラスになることは多いかもしれませんね。そういった意味でも、我々が担っている物理環境の特性の標準化は重要だと感じました。

Q.サービスロボットを導入したものの、後になって使えないとなると、時間も費用も無駄になってしまいます。だからこそ、事前にロボットが動く物理環境について明文化されていれば、判断もしやすいと思います。標準化も重視される御社が、今後弊社に期待することはありますでしょうか?

朝比奈様
そうですね。Octa Roboticsさんに限らず、ロボット運用の導入障壁はやはり初期投資だと思います。とはいえ、これは単純に価格を下げてほしいという期待ではなく、Octa Roboticsさんの製品・ブランド・サービスなどがより広がることで結果的に価格が下がるというのが双方の幸せだと思っています。Octa Roboticsさんは、メーカーというよりも、業界間をつなぐプラットフォームのような存在ですよね。そういった魅力に気づき、導入する企業が増えると企業側も使いやすくなるかなと思っています。

Q.ありがとうございます。初期投資の部分はやはり、ネックになりやすい部分かと思います。一方で人材不足を背景に、国の補助金の在り方がロボットの研究開発から、使う側への導入支援へと徐々に移行するのではと考えています。こういった動きが進めば導入ハードルも下がりそうでしょうか?

佐野様
確かに、国からの初期投資に対する負担があれば、さらに環境が整いそうですね。実証実験を重ねる中で、ランニングコスト自体はペイしているという認識が生まれています。ランニングコストと効果を比較すると、プラスになることがほとんどです。だからこそ、初期投資の負担が減ればさらにロボットの社会実装は進むと感じます。

朝比奈様
国からの補助金があるうちにロボットが普及して、メーカー側にも適切な価格競争が働き、そのうちに補助金がなくても導入しやすくなるという流れが生まれると良さそうですね。そういった社会になっていけば、ロボットの運用に投資しようとする機運が盛り上がるかと思います。


同じ目的をもつパートナーとして、より良い社会づくりに貢献していきたい

Q.2018年から考えるとプロジェクトも5年目を迎えますが、今後の取り組みについてはどのように考えていらっしゃいますか?

朝比奈様
2022年にロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)が発足し、その中の物理環境特性TC長を弊社が担わせていただいています。不動産業界をはじめ関係諸団体、設計会社など我々と関係する企業様の力を全て含めて、人にもロボットにも優しいロボットフレンドリーな環境をどう整えるか―。Octa Roboticsさんの力もお借りしながら、検討していきたいと考えています。

また、検証はもちろん実装についても2023年・2024年で拡大し、引き続きロボットフレンドリーな環境の標準化にも尽力していきたいですね。富士山に例えるなら、標準化はちょうど5合目まで来ていると思いますので。

Q.5合目、弊社もまさに同じ認識でおりました。ここまでは車で行けたけれど、この先は自分たちの足で登るという感じですね。これからロボット運用を検討される企業様も増えてくると思うのですが、これらの新規事業を立ち上げる際のポイントなどはありますでしょうか?

朝比奈様
我々も明確な定量化をしているわけではありませんが、ロボットに限らず、新しい技術を使うことや既存事業の枠にとらわれず新しいことにチャレンジできる人材を起用することは重要かなと思います。壁があるからやめるのではなく、壁があればどうやって乗り越えようかと考えられる人材がいれば、ロボットの運用も前進するのではないでしょうか。

佐野様
私も機器の情報を集めることは好きでしたが、専門家の方のような知識はありませんでした。ただ、興味をもっていたことですので、知識を少しずつつけながら今に至っています。

Q.貴重なお話をありがとうございます。今回のインタビューを振り返ってみても、今後はロボットありきで考えないと社会が回らないという段階がやってくる可能性は高いという認識が強まりました。弊社も引き続き、ロボットを当たり前のインフラにするための取り組みに尽力していこうと思います。

佐野様
私も、今後はさまざまな種類のロボットが1つの建物の中で一緒に働くのが当たり前になると思っています。ですので、LCIサービスの必要性はより高まってくるのではないかと確信しています。

朝比奈様
Octa Roboticsさんは、標準化に関する活動を先駆者的に進められていますので、我々も知見を吸収させていただきたいと思っています。私も佐野も不動産会社に入ってロボットの標準化に関する規格書を書くとは思ってもいませんでしたが、ロボットの社会実装を進める活動は、私たちの事業を違う観点から見つめる良い機会だと感じています。これから先の社会に貢献できる仕事だと考えていますので、これからもやりがいをもって取り組んでいく所存です。

-弊社もこれからの時代に合ったより良い環境づくりに尽力していきます。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。